胃・大腸の内視鏡を専門として、地域医療に取り組んでいきます

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もうひとつの沖縄

沖縄本島

沖縄本島

 身の回りに石垣島から持ち帰ったものが一つずつ増えていく。ミンサー織の財布、そして手提げバッグ。民芸品も天井からぶら下がっている。仕事が一段落すると、彼らとささやかな会話を楽しむ。そして、最後はこうだ。「また、遊びに行くね」
 思い出は尽きることがない。土地の人の言葉もまた同様だ。時間が経つほど、懐かしく、心の中で記憶が膨らんでいく。でも、旅のすべてが楽しい思い出に満ちあふれていた訳ではない。そう、二度の旅で、トゲのように心に刺さった二つの言葉がある。
 一つは、初めての八重山旅行の時だった。旅行最終日、私たちは那覇にいた。フライト時間の関係で午前中だけの駆け足の那覇観光。世界遺産、首里城から金城町石畳を辿り、そして、空港に向かった。バスガイドさんは、テンポよく、独特の沖縄方言で目の前を流れる景色を解説してくれる。車窓には、大きな川とマングローブが見える。空港に着く直前彼女はこう言った。「でもね。皆さん、沖縄には辛い歴史もあるんですよ。戦争の傷跡が、この沖縄には至るところにあるんです。今度は是非そこにも足を運んでくださいね」
 そして、もう一つ。二度目の八重山、竹富島の話だ。私たちは、到着した港からグラスボートに乗った。そこから見える海底は、私の知る本土の海底とは別世界だ。おそらく何百年も、数千年も同じ風景が広がってきたのだろう。フィッシング・ニモがいる。大きなウミガメさんが昼寝してる。おとぎ話の世界の解説が一段落した時、船長さんが語り始めた。「こんなきれいな海も汚れていくんだよね。汚すのはいつも人間だ。珊瑚も魚も、人間がいなけりゃ、美しいままだ」
 不思議な不協和音。長調の曲がいきなり短調に転調したような・・なぜ、その言葉が今?多分、私は心の中でそうつぶやいていた。旅が終わっても、提出し忘れた宿題は私の中に残ることになった。劣等生だった高校時代の後遺症がまだ尾を引いている。
 11月沖縄知事選挙、乱舞する沖縄の踊り。誰が勝ったのか? 答えは明白だ。そのとき、少しだけ分かった。私は彼らの心の痛みを聞いたのだ、と。その痛みにおそらく私の心が共振したのだ。ただの観光客相手に、それでも何かを伝えたい。それが沖縄としての彼らの誇りであり、アイデンティティなのだ。そんな気が今はする。それは私にとって、もう一つの沖縄なのだ。

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