胃・大腸の内視鏡を専門として、地域医療に取り組んでいきます

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国民宿舎のとじ荘

国民宿舎のとじ荘

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「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。 意地を通せば窮屈だ」漱石の草枕冒頭をiPad2で読んでいる。それにしても、たった三つの文章の中に込めら国民宿舎、のとじ荘れた言葉の奥深さ。確かに、人の世は住みにくい。
東北大震災から、もう7ヶ月。今でも考えると心が疼く。その間、数多くの先生方が震災に直接あるいは間接的に向き合い、多くの援助を惜しまなかった。日本人もまだまだ捨てたもんじゃない。そう今は素直に言える。ただ、あの3月の頃は・・・
画面にリピートされる津波の猛威。迫り来る危険に「逃げて!」と叫ぶ自分がいた。そして、原発のメルトダウン。2週間後には、ほとんどテレビをつけることはなくなっていた。不安感、そんなんじゃない。訳の分からぬ重苦しさが常に全身にまとわりついている。夜は何かにうなされ、誰かの叫びが聞こえるようだった。「うつ病かな?」多分、そんなところだ。震災を正しく認識する前に、神経がぼろぼろ状態に陥っている。
どこかへ行きたい? 一体どこへ? 考えあぐねた末に・・「能登へ行こう」そこに辿り着いた。多分心の逃げ場所を探していたに違いない。
のとじ荘を訪れたのは、4月28日だった。まだ冬の寒さが残る空気を吸いながら、防風林の中をゆっくりと歩いた。眼前に広がる見附島とそれに続く海岸線には、人の姿はほとんどない。くり返される波音は、ただ単調でひたすらに優しい。何も考えず、今ここにいることを許されている。幸せなんだな~~、口の中で思わずつぶやいていた。来てよかった。
のとじ荘は、国民宿舎である。建て直して間もないこの宿は、清潔な香りと光にあふれている。幸い、特別室が空いていた。二十畳くらいの洋間は、とてもモダンで、調度品も垢抜けている。トイレの蓋まで自動で開く。極めつけは、部屋の外に配置された露天風呂である。大きな五右衛門風呂みたいな釜に自動給湯器がお湯を注いでくれる。楽に二人は入ることができる。ライトアップされた見附島を前に、暗い海から潮騒が風を運ぶ。正直ちょっと肌寒い。でも贅沢を言えば、罰が当たる。今はこの寒さが心地よい。のとじ荘
久々によく眠れた。波音を聞いているうちにいつの間にか熟睡していたようだ。不思議である。ただ、この地に感謝したい。言い忘れたが、夕飯も絶品。とろけそうなもずくに、イシル汁につけて食べる多彩な海草。海草って、こんなに種類があるんですね。これ割烹で食べると、宿泊料金と同じくらいになりそう・・。

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